第1話「環境整備」

どんな業界でも、その業界企業が活動しやすいように、業界団体等を設立してロビー活動を展開するなど、環境整備に尽力する。
主要産業である生命保険業界であれば、相当な影響力を行使して環境整備しているのは当然である。

その第一は、法整備である。これについては、政治「ノンオフサイドルール」で詳しく解説した。これによって、生保は、不法行為にならない「不当乗換行為」を大手を振ってできる権利を手に入れた。

次は、業界スタンダードの確立だ。具体的には、契約者にとって不利益になる転換契約を、如何に、不利益にならないと見せかけて、あたかも、契約者のニーズに応えるための有効な手段だと思い込ませるか、それを目的とした業界共通の基順設定のことだ。

ここのポイントはふたつある。ひとつが、保障の見直しは有効で必要な手段であると思い込ませることだ。それによって、転換に誘導することが自然な流れになる。
ここで保険選びの詳しい説明はしないが、もし見直しの対象が、資産価値が高い積立型保険の場合、全く見直しの必要性はない。例えて言えば、時価1千万円を超えるお値打ちの車を、数十万円で下取りに出す必要がないと同じことだ。
もうひとつが、「転換は解約ではない」というウソを使用することを、暗黙の了解としたことである
但し、このセリフの使い方については、表向きは各社で微妙に異なり、営業の現場では、生保レディは同様に使用している。
ここで、表向きを検証する。

日本生命ホームページ「見直し方のコツ」から
契約転換制度は、現在の契約を解約することなく、その責任準備金や配当金などを新しい契約の保険料の一部に充当する制度です。契約転換は言うなれば車の買い換えと同じ。古い車を下取りに出してその下取り金を資金の一部として新しい車を買うのと似ています。

明治安田生命ホームページ「転換制度」から
現在ご契約の当社の保険契約を解約することなく、その責任準備金や配当金などの合計額(転換価格)を新しいこの保険の一部に充当する方法です。

第一生命ホームページ「転換制度」から
現在のご契約の責任準備金や配当金など(転換価格)を新しいご契約の一部に充当する方法です。責任準備金とは、将来の保険金・給付金・年金などをお支払いするために、保険料の中から積み立てられるものをいいます。保障額の見直しと同時に、保険の種類や保険期間、付加する特約などを総合的に変更することができます。

生命保険文化センターホームページ「転換制度」から
現在の契約を活用して、新たな保険を契約する方法です。現在の契約の積立部分や積立配当金を「転換(下取り)価格」として新しい契約の一部にあてる方法で、元の契約は消滅します。 主契約と特約の組み合わせやそれぞれの保障額、保険料の額や払込方法、保険期間および保険料払込期間、配当方法などを総合的に変更することができます。

このように、表向きは各社で微妙に異なる。しかし、いずれにしろ、営業現場ではこのウソが使用されているし、裁定審査会においても、直接被害者がこのウソに接している
したがって、「転換は解約ではない」というウソを使用することは、業界の暗黙の了解と言ってよいだろう。
繰り返しになるが、契約者にとって不利益になる転換契約を、如何に、不利益にならないと見せかけるか、それは言い換えると、如何に実態を悟られないか、にかかっているので、このウソを必要としたことになる

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